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核テロの脅威と対策


秋山信将(軍縮センター主任研究員)


 核テロにはいくつかの形態がある。核爆弾や爆破装置を爆破させる(核分裂を引き起こす)方法であるが、そのほかにも、核分裂反応を伴わず、通常の爆薬による爆破によって放射性物質を周辺に飛散させる爆弾、いわゆる「汚い爆弾(ダーティー・ボム)」、また、原子力関係の施設に対するテロ攻撃なども、「核テロ」と言ってよいだろう。核爆弾の爆破は、その破壊や熱線、放射能によって甚大な被害をもたらすが、「汚い爆弾」の場合、被害は爆弾の破壊力そのものよりも、放射能汚染による社会的機能の麻痺や心理的ダメージ(風評被害なども含む)の効果を狙ったものといえる。また、原子力発電所を含む民間の原子力施設へのテロ攻撃も、社会的な機能の麻痺や心理的ダメージを与える効果が大きいが、最悪の事態の場合には、周辺地域に核爆弾と同様の被害をもたらす可能性も排除できない。
 核テロの脅威は、アル・カイーダなどの非国家主体の活動が活発になるにつれて高まっていると認識されており、また、放射性物質や核分裂性物質の管理が行き届かないためにテロリストなどによってそうした物質や核兵器そのものさえもが取得される危険も指摘されている。米国はロシアやIAEAと協力して研究炉などで使用されている高濃縮ウランなどの回収を進めている。国際社会全体としても核テロ対策として、原子力関連施設、特に民間施設における防護の強化や放射性物質の管理の強化、核物質や物資の移転の管理強化(輸出管理やPSIなど)、そして核テロの取締りの強化などについて、最近相次いで国際条約が締結されている。2005年9月には核物質の輸送の安全確保に加え、原子力施設に対する武力行使、威嚇の禁止などを新たに規定する核物質防護条約の改正作業が行われ、また、G8諸国をはじめとする各国が、核テロ行為の明示的な禁止と同行為の容疑者の訴追等を定めた核テロ防止条約に署名した。このような条約の国内実施を強化しまたそのための国際協力を実施することによって国際社会における核テロの脅威を削減しようと努力がなされている。
(2005-11-29)

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