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GUAM


猪股浩司(主任研究員)


5月23日、ウクライナの首都キエフで、GUAM(グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドヴァの四カ国で構成。GUAMはこれら四カ国の頭文字)首脳会合が開催され、GUAMを「民主主義と経済発展のための地域連合GUAM」として再編することが決定されるとともに、これら四カ国間の自由貿易地帯が創設された。GUAM加盟各国の首脳は、「我々の主要目的は、民主主義、安全保障などのほか、欧州の統合、ひいては欧州と大西洋の統合を目指す地域圏を創設することである」(ユシチェンコ・ウクライナ大統領)、「GUAMは、民主的な世界に戻ろうとしている」(サアカシビリ・グルジア大統領)などと、新たなGUAMへの期待感を述べた。

GUAMは、1996年にグルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドヴァの四カ国が域内経済協力強化などを目的に合同したものに、1997年にウズベキスタンが加盟してGUUAMとなったが、2000年頃からウズベキスタンのロシアへの接近やモルドヴァの民族紛争などで活動が滞り、2005年にはウズベキスタンが脱退しGUAMに戻り、今日に至ったものである。GUAMは、旧ソ連諸国によって構成されるいくつかの地域協力機構の中でも、親欧米的な色彩が濃厚な機構であるとみられていた。 

「今日、CISは役に立たないものとなっている。新たなGUAMは、加盟各国の外交的立場が似ている点でCISよりも優れている。CISの枠内では、各国の外交的立場を似たようなものに至らせることができなかった」(ベジュアシビリ・グルジア外相)旨の指摘は、正鵠を突いたものであろう。そういえば、GUAMを主導するウクライナとグルジアは、2005年12月にも、バルト海から黒海、カスピ海沿岸地域の民主化促進などを旗印に、リトアニア、ラトヴィア、エストニア、ルーマニア、モルドヴァ、スロベニア、マケドニア、それにポーランドとブルガリアを巻き込んで、「民主主義的選択共同体」を結成している。同「共同体」発足に際しては、米国とEU、及びOSCEがオブザーバーを派遣した。

しかし、旧ソ連諸国においては、こうした「ロシア離れ」の動きの一方で、GUUAMを脱退したウズベキスタンが親ロシア的な機構であるユーラシア経済共同体に今年1月に加盟したように、「ロシア接近」の動きもみられる。CISの形骸化が指摘されて久しいが、旧ソ連諸国がそれぞれの国益を追求する立場から広く合従連衡を繰り返す状況は、これからも続くだろう。その過程で、これら諸国の間、とりわけロシアとロシア以外の国々の間に摩擦が生じる事態は、当然予想される。とりわけ、天然資源の輸出入をはじめとする経済関係をめぐっては、欧米諸国がこれに介入することもあるだろう。
(2006-05-26)

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