ホーム > 研究活動

研究活動

戻るトップページ

テポドン


宮本悟(研究員)


テポドンとは、北朝鮮が開発した弾道ミサイルのコードネームである。このミサイルの存在が最初に確認された場所の地名が「大浦洞(テポドン)」であったことからアメリカで名付けられた。もちろん、これはアメリカでのコードネームであって、北朝鮮では「白頭山(ペットゥサン)」と呼ばれている。

北朝鮮には、ノドンという弾道ミサイルがあったことも知られている。これも最初に確認された場所の地名が「蘆洞(ロドン)」だったことに由来するコードネームである。北朝鮮では蘆洞をロドンと呼ぶのだが、韓国ではノドンと発音するために、ノドンという名称が広まった。以前に日本ではノドンに「労働」という漢字を当てることがあったが、これは「蘆洞」と「労働」が韓国語で同音であるために生じた誤解である。残念ながら、ノドンが北朝鮮でどう呼ばれているのか確実なことは分からない。ノドンとテポドンの主な違いは、ノドンが1段式ミサイルなのに対して、テポドンは2段式ミサイルという点である(最近、テポドンには3段式も存在するという説がある)。

テポドンの存在を最初に世に知らせたのは、おそらくイギリスの軍事専門雑誌である『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』誌(Jane's Defence Weekly)の第12巻10号(1994年3月12日)に掲載された記事である。その時からテポドン1号と2号が開発中であることが知られており、その主な違いは射程距離であった。1号は2,000km、2号は3,500km以上と推定されていた。この推定では、テポドンは射程距離500~3,500kmの準中距離弾道ミサイル(MRBM)に該当する。3,500kmというと、北朝鮮からグアムに到達する距離である。

ただし、テポドン2号の射程距離については、様々な憶測が飛び交った。1995年9月11日付『ソウル新聞』(韓国紙)は、米国防情報局(DIA)の分析として4,300~6,000km、ロシア情報当局の分析として9,600kmと報道した。1995年9月29日付『ワシントンタイムズ』紙は、DIAの分析として7,440km、弾頭を小さくすれば9,920kmと報道した。1997年11月25日の米国防総省の報告書では、テポドン2号の射程距離を4,000km~6,000kmと推定した。6,000kmは北朝鮮からアラスカに到達する距離であり、5,500km以上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)に分類される。今では、この米国防総省の報告書の推定値が、テポドン2号の射程距離として一般的になっている。また、北朝鮮は米国全土が射程距離に入るテポドンXを開発しているという情報もある。

テポドンが一躍有名になったのは、1998年8月31日に発射され、一部日本上空を越えた飛行物体が、テポドン1号と推定されたためである(この発射は、日本では一般的にミサイル発射実験と考えられているが、「光明星1号」という人工衛星の打ち上げという北朝鮮の主張に従えば、ロケット発射となる)。それ以来、現在に至るまで約10回にわたって、北朝鮮がミサイル実験をする兆候が見られた。しかし、結局、1998年9月以来、現在に至るまでテポドンのミサイル実験は確認されていない。2006年5月19日にミサイル実験の兆候が見られるという情報があり、それがテポドン2号ではないかと推測されている。このミサイル実験が実施されるかは、まだ不明である。

(2006-06-30)

▲ページの先頭へ
戻るトップページ