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コンテナ・セキュリティ・イニシアティブ(CSI: Container Security Initiative)


宮本悟(研究員)


2007年2月12日に米国は、大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河を管理しているパナマと核物質などの貿易管理に関する原則宣言に署名した。これによって、米国が推進してきた大量破壊兵器(WMD)不拡散レジームを支える一つであるコンテナ・セキュリティ・イニシアティブ(CSI: Container Security Initiative)がいずれパナマでも実施される見通しとなった。

CSIは、米国に輸入される貨物を厳格に検査することによって、大量破壊兵器関連物資やテロリストが使用する兵器の米国内への流入阻止を目的として、2002年1月から米国で導入された制度である。米税関・国境保護局(CBP)がCSIを担当しており、主に海上輸送のコンテナが検査対象となる。当初、米国が単独で始めた制度であったが、2003年3月にカナダとの合意に基づいて、査察官をお互いに指定した港に駐在させたことを皮切りに、CSIは多国間プログラムへと展開し始めた。2006年8月の時点で、CSIに参加して、CBP査察官が派遣されている港はヨーロッパで21港、アジアで14港、中東で2港、アフリカで1港、米大陸(米国除く)で6港になる。CSIによってCBPは、米国の水際でコンテナを検査して危険物資の国内流入を阻止するだけでなく、米国に出荷されるコンテナを事前に海外港で検査して危険なコンテナを特定できるようになった。

PSIに参加していない中国や韓国も、CSIには参加している。もちろん日本もCSIに参加している。2002年9月26日に財務省は、CSIを試験的に実施することを発表した。現在、横浜港と東京港、名古屋港、神戸港にCBP査察官が派遣されており、日本の査察官が米ロングビーチ港に派遣されている。なお、財務省ではCSIの日本語訳として「海上コンテナ安全対策」を公式に使用しているが、一般的にはコンテナ・セキュリティ・イニシアティブやCSIなどと表記されることが多く、「海上コンテナ安全対策」は日本語訳として定着していないようである。

現在、CBPは、国際テロリストによる脅威から世界貿易システムを保護する多国間プログラムとしてCSIを定義している。さらに、CSIは、検査によって危険なコンテナを特定するだけでなく、海上コンテナ輸送の安全性と効率性を高めることも目標に掲げている。CSIの中核となる4つの要素は、①リスクの高いコンテナを識別し、②出荷前に事前スクリーンと審査を行い、③取引を遅滞させないように、危険性が高いコンテナの事前スクリーンを迅速に済ませるための技術を屈指し、④輸送中に不法に手を加えたコンテナを特定しやすいように、より高性能で安全性の高いコンテナを使用させることである。世界税関機関やEU、G8はCSIの拡大を支持しており、CSIに類似した保安対策や検査規格を導入する港も世界各地で増加している。その意味で、CSIは国際規範としても認知されているといえよう。

(2007-04-27)

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