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オバマ政権の閣僚構成にみる多様性


西川 賢(研究員)


アメリカは人種的にも文化的にも、またその他の面においても、実に多様な国であることはいうまでもない。アメリカの歴代政権の閣僚の構成を見ていて気づかされることは、閣僚が構成もそのようなアメリカの多様性を反映しているという事実である。
バラク・オバマ政権も例外ではない。足立正彦氏も指摘するように、大統領権限の継承権を有するオバマ政権の15名の閣僚のうち、人種マイノリティと女性の占める割合は目立って多い。実に閣僚の3分の2が人種マイノリティや女性からの登用となっていることは注目に値する事実といえる(久保編、『オバマ政権を支える高官たち』)。

女性閣僚について

フランクリン・ローズヴェルトは1933年にフランシス・パーキンスという女性を史上初めて閣僚(労働長官)に任命した。だが、これを嚆矢として、その後の政権で女性閣僚の任命が漸増したかというとそういうわけではない。
ローズヴェルト以降の民主党政権でいえば、トルーマン政権(ローズヴェルト政権から横滑りしたパーキンスを除く)、ケネディ政権、ジョンソン政権では女性は閣僚に任命されなかった。カーター政権ではジュアニタ・クレプス、パトリシア・ハリスが閣僚に任命され、クリントン政権ではオルブライト、リノ、シャララの3名が閣僚に任命された。ローズヴェルト以来、のべ40年に及ぶ民主党与党時代において、女性閣僚は10名任命されている。民主党政権での閣僚任命総数は135名に上るが、そのうち女性の任命は7.41%にあたる。
共和党政権では、アイゼンハワー政権・フォード政権でそれぞれ1名ずつ、レーガン政権では3名、ブッシュ父政権で2名の女性閣僚が任命されている。さらにブッシュ息子政権ではライス、ノートン、ヴェネマン、チャオ、スペリングス、ピータースと6名の女性が閣僚に任命されている。1933年以降、共和党はのべ36年間与党の地位にあったが、その間14名の女性閣僚を任命してきた。共和党政権での閣僚任命総数は157名に上り、そのうち女性の任命は8.92%にあたる。
以上からもわかるように、女性閣僚はマイノリティであったといってよい。その意味で、オバマ政権が発足当初から既に4名(閣僚全体の27%)の女性閣僚を任命していることは画期的である。今後閣僚メンバーの入れ替えが起これば、オバマ政権では歴代の政権を上回る数の女性閣僚が任命されることも予想できる。

人種マイノリティ閣僚について

人種に関してみても、アメリカの歴代政権の閣僚は多様である。ちなみに、これまでアフリカ系出身の閣僚は17名任命されている。民主党政権での任命は11名、共和党政権での任命は6名となっている。
人種に関してもオバマ政権の閣僚は多様である。オバマ政権ではアフリカ系閣僚は法務長官であるエリック・ホルダーのみで、アフリカ系政治勢力を特別に優遇しないというオバマの政治姿勢を反映している。アフリカ系であるホルダー法務長官のほか、サラザール内務長官、ソリス労働長官がヒスパニック、アジア系はシンセキ退役軍人長官、チューエネルギー長官、そしてロック商務長官の3名となっている。その他にラフッド運輸長官はレバノン系アメリカ人を父に持つ中東系アメリカ人であり、実に多様な閣僚構成になっていることがみてとれる。
 アメリカ合衆国の総人口は2009年現在、約3億人程度と見積もられている。現在ではヒスパニックが総人口の約15%、アフリカ系が14%、アジア系が4%(2006 American Community Survey)、女性が50.7%を占める(State and County Quick Facts.)。
 オバマ政権は15名の閣僚のうち3分の2を人種マイノリティや女性から登用していることはすでに述べた。これは歴代政権と比較すれば目だって多いことは確かであるが、それでもなお、女性や人種が総人口に占める割合をそのまま反映しているわけではない。

【参考文献】
:久保文明編『オバマ政権を支える高官たち――政権移行と政治任用の研究』(日本評論社、2009年)
:2006 American Community Survey. United States Census BureauのHPを参照した。
:State and County Quick Facts. United States Census BureauのHPを参照した。
(2009-07-31)

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