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国際会議・シンポジウム
「より効果的な平和構築活動に向けて」ヨーロッパ紛争予防センター

中山 俊宏

10月24−26日の3日間、オランダのアムステルダム近郊で「ヨーロッパ紛争予防センター(ECCP)」が開催した国際会議「より効果的な平和構築活動に向けて」に出席した。ECCPは、広義の紛争予防活動を行っているNGOのネットワーク構築を目的に、1997年に設立されたNGOである。

本会議には50ヵ国以上のNGOから、300名以上が出席し、紛争予防が市民社会レベルに深く浸透していることを改めて実感させられた。会議では、紛争予防に関わる数多くのテーマが15以上の分科会で討議され、筆者は、「市民外交」、「NGOのネットワーク構築」、「宗教と紛争」のセッションに参加した。しかし、もっとも印象に残ったのは、急遽テーマに組み込まれた米国に対するテロのセッションであった。

参加者の多くは、テロリストの攻撃を非難するとともに、米国によるアフガニスタン爆撃を、さらなる報復を招く行為として等しく批判していた。しかし、マケドニアで10年以上活動を続けてきたNGOの代表が、今回の事件を前にして、無力感を覚えざるをえないと述べたことが強く印象に残った。同代表は、長期間にわたる和平への努力が、ごく一部の左右の過激派の行為によって、一瞬にしてもろくも崩れ去る様が、ワールド・トレード・センターの崩壊と重なって見えると述べ、平和の脆弱性を改めて認識する必要性を訴えた。彼の発言は、ともすると米国批判に傾きがちであった会議の雰囲気に一石を投じた。

話題が若干逸れたが、国際的により確固たる基盤を築きつつある紛争予防に向けた努力に、日本の市民社会からもますますの貢献が期待される。この点で、参加者の圧倒的多数がヨーロッパ諸国からであった点が多少気にかかった。日本にも数多くのNGOが活動していることを筆者なりに伝えるよう努力した次第である。

(アメリカ研究センター研究員)

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