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ラーンシュタイン教授との懇談会

Discussion Meeting with Prof. Manfred Lahnstein
片岡貞治
KATAOKA Sadaharu

10月31日、訪日中のラーンシュタイン教授(元独財政相)をお招きして「欧州の困難な課題」と題する懇談会が当研究所大会議室で行われた。司会は石川薫・当研究所所長代行が務めた。

1. スピーチ要旨

欧州統合プロセスの歴史を紐解くと、特にここ10年間の進展には目覚しいものがある。東西ドイツの再統一、それに対する西欧の解答が「マストリヒト条約」であると考えている。「マストリヒト条約」が、現在の欧州統合プロセスの原動力となっているのである。「マストリヒト条約」より、EUは、ユーロおよび共通外交安全保障政策(CFSP)の推進を始めとしてその「進化」と中東欧諸国を巻き込んだ「深化」を進めていった。

ユーロの進展は、意見を二分し、EU内部のみならずEU加盟国内にも賛否両論を巻き起こし、ユーロ楽観主義とユーロ悲観主義を生み出した。潜在的な反ユーロ主義者は米国と英国であった。

しかし、ユーロは生き物である。明年1月には各国の市場に使用される通貨として導入される。一般消費者に大きな心理的な混乱をもたらすが、パニックにはならないであろうし、移行期間はスムーズに進むであろう。

EUには、ユーロの導入のみならず、拡大プロセス、CFSP、共通安保防衛政策(ESDP)、CAP等さまざまな困難な課題が目白押しである。しかし、EUの「進化」と「深化」は不可逆なものであり、前進することによって問題をマルチの枠組みで解決していかなければならないであろう。

2. 印  象

ラーンシュタイン教授はまさにEU統合プロセス、欧州デモクラシー、ドイツ再統一の生き字引、歴史の生き証人であった。教授はEUの歴史と未来を、興味深い実例を紹介しつつ、明快にかつ簡潔にレクチャーを行い、非常に意義深い懇談会となった。

(グローバルイシューズ(欧州・アフリカ)研究員)

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