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![]() 「日米軍備管理・軍縮・不拡散・検証委員会トラックⅡ会合」の開催戸崎洋史
10月20−21日、当研究所大会議室において、「日米軍備管理・軍縮・不拡散・検証委員会トラックⅡ会合」が開催され、日米の専門家・政府関係者など計38名が出席した。日米両政府が設置した本委員会で、政府間プロセスとともにトラックⅡプロセスを設けることが合意され、当研究所軍縮・不拡散促進センターおよびモントレー国際大学不拡散センターが後者の事務局となっている。 第一議題「軍備管理・不拡散および安全保障に関する日米協力への中国の軍事近代化のインプリケーション」では、軍事近代化を含む中国の動向が日米両国の高い関心事項であることが改めて認識されるとともに、中国を軍備管理・軍縮プロセスに参加させる方途について、さまざまな提案が出されたことが、とくに有意義であった。 第二議題「不拡散に関する検証および遵守」では、軍備管理・不拡散レジームの信頼性回復には、検証その他履行能力の向上、ならびに政治的意思が重要であることが強調された。今後は準国家主体の動向も注視する必要があることや、生物兵器禁止条約に関する検証については化学兵器と性格が異なる点を考慮したアプローチが必要であることなどでは共通の認識が見られたが、包括的核実験禁止条約(CTBT)に関する両国間の意見は大きく異なっていた。米国側からは、米国が核爆発実験のオプションを維持したい理由が説明され、核爆発実験の禁止による核兵器の信頼性の低下は、拡大抑止の信頼性も低下させるという見方も示された。日本側からは、CTBTは核兵器の質的側面における米国の優越を制度化し、中国の質的増強を防止することにもつながるという意見が出された。 活発な意見交換および多くの提言がなされ、第一回会合としての本会合の目的は、達成されたように思われる。この有意義な試みが、次回以降、いっそう発展することが期待される。 (軍縮・不拡散促進センター 研究員)
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