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「国際問題」電子版 (ISSN:1881-0500) -最新号-

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2017年9月   No.664
電子版

 2017年は、米国が貿易自由化を唱道して仕切ってきた戦後世界経済秩序の「終焉への始まり」として記憶されるかもしれない。米国がトランプ政権発足と共に新保護主義に傾く反面、世界経済フォーラムで中国首脳が自由貿易を訴えたことは、経済統合に自信喪失気味の欧州を中心に、秩序変化の始まりを象徴するものと受け止められた。
 しかし、中国は米国に代わって世界経済秩序を再設計しうるだろうか。中国はいまだ一党支配という異形の体制下にあり、市場のインフラ水準は低く、多くの貿易障壁や規制を維持している。それらに端を発する上海金融市場の不安定化や急激な資本流出、外貨準備高の減少など、自由化推進には逆風が続き悪循環を招いている。人民元はIMFの引出権(SDR)通貨入りを果たしたものの完全な変動相場移行には至らず、資本取引自由化の速度は遅い。終焉の始まりは新秩序形成への主導国を欠いたまま、リーマン・ショック後の世界経済の低迷長期化を招いているのが現実と言えよう。とはいえ、中国は市場としての存在感が大きく、人民元の国際化は世界経済の今後を左右する重要な要素となりつつある。
 以上の問題意識に鑑み、本特集では、中国経済の構造転換と米中経済関係から人民元の先行きを展望すると共に、その為替変動がもたらす影響を通じて新経済秩序の胎動に焦点を当てた。 

焦点:中国経済と世界の未来

<次号特集のお知らせ(2017年10月号)>
焦点:「ASEAN外交と加盟国――中心性と求心力」(仮題)
※内容は変更となる場合があります。

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◆編集委員会:遠藤貢(東京大学 大学院総合文化研究科教授)、奥脇直也(明治大学法科大学院法務研究科専任教授)、古城佳子(東京大学大学院・総合文化研究科教授)、高橋伸夫(慶應義塾大学教授)、中山俊宏(慶應義塾大学 総合政策学部 教授)、深川由起子(早稲田大学大学院経済学研究科教授) (50音字順)