
松永委員長、CSCAP 国際共同議長に選出される−−CSCAP国際運営委員会の開催(菊池努)
去る6月3〜5日、マレーシアのクアラルンプールでCSCAP(アジア太平洋安全保障協力会議)の国際運営委員会が開催され、日本委員会より松永信雄委員長、永井慎也事務局長他が出席した。また全体会合に先立ち、3日に少数のメンバーからなる企画委員会が開催され、日本委員会からは松永委員長が出席した。
今回の運営委員会において、松永委員長が満場一致で国際共同議長に選出された。松永議長の任期は2年間。今回の議長の交代は、共同議長の一人であるアモス・ジョーダン氏(米国)の任期終了に伴うものである。(なお、もう一人の共同議長は、ユスフ・ワナンディ氏(インドネシア)でその任期は97年6月まで。)
今回の国際運営委員会には北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)委員会の代表2名が平壌より参加した。これまで現地大使館員の出席にとどまっていた北朝鮮委員会から、初めての本国からの参加である。分担金の支払完了とあわせてCSCAPに対する北朝鮮の姿勢の変化を示すものであることを期待したい。
国際運営委員会での議論・合意の概要は以下の通りである。
1. メンバーシップ
(1) 中国・台湾の参加問題
かねてより懸案であった中国・台湾の加盟問題に関しては、両者の同時加盟というこれまでの方式を修正し、中国、台湾それぞれの参加問題を切り離し、まず中国に対して以下の二つの了解のもとにCSCAPへの加盟申請を促すことになった。
a. 台湾の専門家のCSCAPワーキング・グループ会合への参加(個人の資格で)は引続き認められる。
b. CSCAPへの台湾の将来の参加の態様に関しては、今後さらに検討する。
(2) モンゴルの参加承認
モンゴルよりCSCAP加盟の申請がありこれを承認した。なおモンゴルはすでに国内委員会を設立済みである。
(3) ベトナムの加盟問題
ベトナムではすでに国内委員会を設立しており、国防関係者の参加を待って正式な加盟申請を行う予定であるとの報告があった。
2. ワーキング・グループ(WG)
(1) 信頼・安全醸成措置WG
4月のワシントンでの会合の報告が行われ、今後の検討対象として核エネルギーの安全管理・地域協力の問題を取り上げたいとの意向の表明があった。なお、コーディネーターのラルフ・コッサ氏(米:パシフィックフォーラム/CSIS事務局長)が先般わが国を訪問した際に、わが国の原子力関係者との間で本件につき協議を行った。
(2) 海洋協力WG
4月のクアラルンプールでの作業部会会合につき報告があった。
(3) 総合安保・協調的安保WG
2回の会合の総括と、今後の課題として「経済相互依存と安全保障」の問題に取り組みたいとの意向の表明があった。次回の会合は、12月3日〜4日、ニュージーランドのウェリントンにおいて開催の予定である。
(4) 北太平洋WG
諸般の事情で5月の中旬に予定されていたヴァンクーバーでの会合が延期になったが、本年末を目途に開催したい旨の報告があった。また、本WGのコーディネーターの一人が佐藤誠三郎埼玉大学大学院教授から山本吉宣東京大学教授に交代になったとの報告があった。
次回会合では朝鮮半島に焦点をあて、以下の三つのトピックスを取り上げる方向であるが、関係委員会との間でさらに検討したい旨の報告がコーディネーターのエバンス教授(カナダ)よりあった。
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- ・核問題とKEDOの今後
- ・北朝鮮への援助・経済技術協力の問題
- ・より安定した平和の構造作り
3. CSCAP総会の開催
現在マレーシアで開催されている「アジア太平洋ラウンドテーブル」の一部をCSCAPのセッションにしているが、次回より、ラウンドテーブルに前後してCSCAP総会を開催することになった。詳細は次回国際運営委員会で検討する予定である。
4. 次回国際運営委員会は12月8〜10日にキャンベラで開催の予定。
(客員研究員)
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