日本国際問題研究所は外務省の後援のもと、2005年3月2日に標記シンポジウムを開催した。当日は基調講演者・パネリストと、約200名の聴衆との間で、アフガニスタンの現状と今後の支援につき、活発な議論が展開された。
アフガニスタンは20年にわたる内戦を経て、2004年1月に新憲法を採択し、同年10月には大統領選挙が実施された。パネリストらは、アフガニスタンの直面する困難を指摘しつつも、ボン和平合意後の3年間で達成された成果もまた強調した。具体的には、大統領選挙の成功、政府の正統性確保、元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)の進展、地方軍閥の弱体化である。参加者からは麻薬栽培問題や経済開発の遅れ、民兵の武装解除問題などにつき、多くの質問や意見が寄せられた。
残された問題の解決は、アフガニスタン一国の努力では困難であり、国際社会の支援が依然として求められている。シンポジウムでは、今後の国際社会による支援の取るべき方向性として、アフガン社会に内在する変化を求める声の育成、期限を区切ったアプローチ、政府・警察・司法制度などの信頼性強化支援、支援に関わる様々なアクター間の協調性向上、アフガニスタンを国際経済の中に組み込む努力の必要性、などが指摘された。そしてアフガニスタン自身に対しては、上記の方向性に応じることに加え、国内でのリーダーシップの重要性や、団結の必要性が指摘された。