昨年の大統領選に端を発した「オレンジ革命(注1)」後、ウクライナは新たな道を歩み始めた。国内的には民主化をさらに進展させ、市場経済システムを確立することが目標。外交面ではロシアとの関係は維持しつつも、欧州との統合を志向している。日本からの投資に期待していると同時に、国連改革などでも協力を強化したい。
オレンジ革命の背景
一年前までのウクライナは、「自由や法の支配がなく、犯罪者が政治を運営している国」だった。政治体制の変化が必要と誰もが感じていて、11月の大統領選に期待が高まっていた。ところが選挙に不正が発覚、大規模な抗議行動が起こった。人々は自らの自由と権利のために繰り出した。こうした旧体制に依存したくなかった人々に支えられて、自由で公正な選挙が実現、ウクライナ人は自分たちの国を誇りに思えるようになった。
オレンジ革命の成果
人々は変化を求めていたので、短期間に具体的な成果を挙げることが大事と考えた。そこで、①所得や年金面での改革②政治の安定③良好なマクロ経済―を目指して努力した。その結果、所期の目的を十分に達成できた。
現在の取り組み
国内的には民主化をさらに進展させたい。また政府による過剰な規制を撤廃し、競争原理を導入して、ウクライナを魅力ある市場経済国にしたい。外国企業の投資誘致が最優先課題。世界貿易機関(WTO)加盟交渉は困難を伴っているが、年内には加盟できるようにしたい。知的財産権保護など加盟に必要な法律はできているし、市場開放の努力も続けている。外交面では東の隣国ロシアとの関係は維持していくが、欧州への統合を図ることが最大の目標。北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉も行っているが、これも統合に向けての一つのステップ。
日本への期待
日本企業の投資がなければ、ウクライナの将来はない。ウクライナは農業に加え製鉄、造船、化学などの産業が発達している。ハイテク産業の強さも強調しておきたい。人工衛星やロケット製造関連産業、航空機産業などは競争力がある。日本企業と協力していけるよう、対話を進めたい。政治面では、日本が国連安全保障理事会の常任理事国になるにふさわしいと考えている。ウクライナの非常任理事国入りを日本が支持してくれていることに感謝したい。日本人に対する査証(ビザ)を免除することにしたので(注2)、ぜひ多くの日本人にウクライナに来てもらいたい。
(注1)2004年11月のウクライナ大統領選でユーシェンコ氏の支持者が選挙の不正を主張、オレンジ色の旗やリボンを掲げて大規模な抗議行動を展開し、12月のやり直し投票で同氏が勝利したことにちなんでこう呼ばれる。
(注2)一部報道によると、2005年8月1日から。
以 上
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