日本国際問題研究所 緊急特別研究会
「9.11テロ攻撃以降の国際情勢と日本の対応」研究会

9.11テロ攻撃は世界を震撼させた。しかし、今度の「事件」は単なる大惨事ではなく、国際関係の本質に迫る大きな問題を含んでいる。伝統的な概念での国際関係は「国際」という言葉が示しているとおり、主権国家同士の関係であった。その中で、国家間で行なわれる交渉が「外交」であり、あるいは国家間の争いごとの究極の形態として「戦争」というものがあり、また外国からの攻撃に対して自分の国を守るということが「国防」というものであり、「安全保障」であった。ところが、9.11テロ攻撃は、この伝統的な国際社会の関係性そのものに大きな影響を与え、国家の枠組みに必ずしも規定されない個人・集団・組織(非国家主体)が国防・安全保障の脅威の対象として認識されるようになった。また、非国家主体の脅威を新たな軸の一つとした安全保障政策や外交関係の形成といった新しい現象が生まれつつある。

本研究会は、テロ攻撃以降の事象を単に事件としてではなく、世界がどう変化しつつあるのか、その中で日本がどう変わらなければならないかという問題意識のもとに立ち上げ、9.11テロ攻撃に関わる事象を多角的に考察すべく、9月11日直後から研究会を重ねてきた。以下の論文は、この研究会の成果である。

平成14年3月
研究会主査: 日本国際問題研究所 所長代行 石川薫
共同幹事: 日本国際問題研究所 研究員 中山俊宏
神保謙

※他の原稿も順次掲載予定。


戸崎洋史(とさきひろふみ)当研究所軍縮研究員
『核不拡散体制へのインプリケーション』  [PDFファイル 39.6K]
略歴:
1971年生まれ。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程中退(国際公共政策修士)。1996年より現職。専門は軍備管理・軍縮・不拡散、とくに核兵器を含む大量破壊兵や・ミサイル防衛をめぐる国際関係。

成田昌弘(なりたあきひろ)当研究所軍縮研究員
『生物・化学テロに対する日本の防御態勢』  [PDFファイル 121K]
略歴:
1943年生まれ。防衛大学校研究科(現修士課程)卒。陸上自衛隊勤務。最終補職は陸上自衛隊化学学校長。階級:将補。2001年より現職。専門は化学武器、生物武器、核武器。

山田哲也(やまだてつや)当研究所研究員 (当時)
『国際法から見た9.11大規模テロ―「新しい」ワインと古い「革袋」?−』
[PDFファイル 39.0K]
略歴:
1965年生まれ。国際基督教大学大学院博士後期課程中退(行政学修士)。在連合王国日本国大使館専門調査員を経て、現職。椙山女学園大学講師を兼ねる。専攻は国際法・国際機構論。共著書に『新版国際機構論』(2001年、国際書院)。

渡邉松男(わたなべまつお)当研究所研究員
『テロと途上国経済−1998ナイロビ米大使館爆破事件のインプリケーション−』
[PDFファイル 90.1K]
略歴:
1963年生まれ。英マンチェスター大学にて博士号を取得。同大学開発政策行政研究所研究員、東アフリカ協力機構客員研究員、国際協力推進協会調査役等を経て、2001年より現職。専門は開発政策、アフリカ経済、多国間貿易協定。

中山俊宏(なかやまとしひろ)当研究所研究員
『9.11テロ攻撃と反テロリズム情報連合の形成』  [PDFファイル 122K]
略歴:
1967年生まれ。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(国際政治学専攻)博士課程修了。同大学院にて博士号(国際政治学)取得。ワシントン・ポスト紙極東総局(当時)記者、国際連合日本政府代表部政務班専門調査員等を経て現職。専門は、米国政治、米国政治思想。

神保謙(じんぼけん)当研究所研究員 (当時)
『「対テロ戦争」と日米同盟―米安全保障の再構築と同盟関係の再定義?―』
[PDFファイル 265K]
略歴:
1974年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程在籍中。1999年より現職。早稲田大学アジア太平洋研究センター特別研究員。専門は安全保障、とくに日米安保関係、ミサイル防衛、アジア太平洋の多国間安全保障。

松本弘(まつもとひろし)当研究所主任研究員
『アラブ世界のイスラム原理主義−その変質とテロ攻撃−』 [PDFファイル 52.7K]
略歴:
1960年生まれ。在イエメン日本大使館専門調査員を経て、1994年英マンチェスター大学文学部中東学科にて博士号を取得。1997年より現職。専門はイエメン史、エジプト史、中東地域研究。

小山謹二(こやまきんじ)当研究所軍縮主任研究員
『原子力施設・核物質テロに対する日本の防護措置』 [PDFファイル 32.1K]
略歴:
1936年生まれ。岡山大学理学部卒。日本原子力研究所にて炉物理の研究に従事。IAEAの保障措置データ評価グループ・リーダー、原研・保障措置研究室長を経て1997年より現職。1992年から1997年までIAEA保障措置の実施に係る常設諮問委員会(SAGSI)の日本代表を勤める。専門は原子力・核不拡散。

新井勉(あらいつとむ)当研究所軍縮主任研究員兼企画部長 (当時)
『生物・化学兵器の軍縮・不拡散体制へのインプリケーション』 [PDFファイル 38.6K]
略歴:
1950年生まれ。仏グルノーブル大学文学部、横浜市立大学文理学部を経て、1978年外務省入省。英サセックス大学院修士号(国際関係論)取得。ジュネーブ軍縮代表部、外務省国連局、在象牙海岸日本国大使館、在オランダ日本国大使館、外務省外務審議官補佐等を経て、2000年12月より現職。専門は多数国間の軍備管理・軍縮。

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