第二期ブッシュ政権は、1.長年の同盟国との協力関係の強化、2.イラク問題の処理、3.自由と民主主義の拡大――を重点課題としている。日本との安全保障関係は大変良好だが、世界のエネルギー供給について対話を行うなどして一層の関係強化を図ることが望まれる。
同盟国との関係
第二期政権がスタートしてすぐ、ブッシュ大統領はカナダ、チリ、欧州などにライス国務長官を派遣した。メッセージは明快で、過去の意見の相違は水に流して、より前向きな協力関係を築いていこうというものだった。また、中東和平、イランと北朝鮮の核問題の解決に向けて積極的な姿勢を取っている。
イラク問題
イラクの戦闘状態は続いており、米兵が毎日傷ついたり命を落としたりしている。イラク問題でブッシュ政権は、国内で批判にさらされている。最近米国を襲ったハリケーンの陰に隠れてやや目立たなくなっているが、同問題は引き続き政治的な重荷である。
イラク派遣部隊をすぐに削減していくと、米国がイラクの民主改革に関心を失っているとの間違った印象を国際社会に与えてしまう。そうすると、テロとの戦いにとっても痛手になりかねない。イランは欧州連合と核協議を行ってきたが、米軍がイラクから撤退していくと圧力をそれほど感じなくなり、結果として核問題でより強硬姿勢に転じかねない。北朝鮮もイランとEUの協議をじっと見守っており、その行方を見極めるまでは6カ国協議では様子見を続けることもありうる。
自由と民主主義
ブッシュ大統領は第二期の就任演説で、自由と民主主義を世界中に広げるとの方針を明確にした。方法論としては、サウジアラビアやエジプトなどアラブ諸国に対して働きかけを行うというもの。例えば、エジプト政府に対して、野党が政権を批判したりする自由度を高めるよう促したりしている。
日米関係
日米安保関係は大変良好だ。状況次第だが、米軍は来年にはイラク派遣部隊を半減させる予定。日本には自衛隊の派遣期間をあと一年延長してもらいたい。日米は今後、アジア太平洋地域の安保問題に注意を払っていく必要がある。その一環として、世界のエネルギー供給事情を戦略的観点から検討する対話の場を設けるべき。情報通信(IT)やサイバー安保面での協力も有益だ。IT関連分野での規制緩和は日本経済にとっても好影響をもたらすだろう。
以 上
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