JIIAフォーラム講演要旨

2007年2月15日
於日本国際問題研究所


ピーター・ホワイト米国サザンセンター所長

「南部から見た米国政治情勢」

私はニューヨーク生まれで南部育ちではない。しかし、40数年前にアトランタに移り住んで以来、そこで暮らしている。この40年間、とりわけ60年代に南部は大きな変化を体験した。

08年の大統領選挙に向けた動きを見渡すと共和党側はジョン・マケイン上院議員が筆頭候補だ。しかし、マケインの命運は、イラクへの増派が成功するか否かにかかっている。またモルモン教徒のミット・ロムニー知事も要注目だ。彼は保守派に転じ、共和党内保守勢力の支持を取りつけようとしている。

民主党に目を転じると、筆頭候補は明らかにヒラリー・クリントン上院議員だ。彼女は、きわめて有能な政治家だ。ただ、アグレッシブ過ぎるとの負のイメージもあり、女性票を二分する可能性もある。またイラク戦争開戦当初、戦争を支持したことも足枷となっている。新人のバラック・オバマ上院議員が彼女に続いている。彼は一貫してイラク戦争にも反対している。候補に名乗りを上げてから、この立場をより鮮明に打ち出している。この他にも、コモン・マンとの連帯を強調する法廷弁護士出身のジョン・エドワーズ元上院議員がいる。民主党で忘れてはならないのが、議員歴34年のジョー・バイデン上院議員だ。大統領にはならないかもしれないが、いい副大統領にはなりうる。エドワーズも副大統領職を受け入れるだろう。クリントンとオバマの二人が副大統領職で満足するかどうかは現時点ではなんともいえない。また、皮肉なのは、クリントンは女性票を、オバマがアフリカ系アメリカ人票を必ずしも押さえきれていないことだ。

再度共和党に目を転じると、元下院議長のニュート・ギングリッチがいる。彼はアイディア・マンで大統領職を狙っているといわれる。またアイゼンハワー・リパブリカン派の代表格としてチャック・ヘーゲル上院議員がいる。彼は、共和党内の反戦派を引きつけうる。また知名度という点で圧倒的なルーディ・ジュリアーニ市長がいる。彼はニューヨークの治安を劇的に改善し、また9・11直後に現場の指揮官として指導力を発揮した。しかし、現場の指揮官がコマンダー・イン・チーフに適しているかと言えば、それは別問題であろう

以 上