今日は、グルジアの現状とグルジア・日本関係について、お話したい。
まず、グルジアの現状についてである。ご承知の通り、グルジアは現在、民主主義改革を強力に推進している。かつてのグルジアは、経済的な苦境と汚職の蔓延という非常に厳しい状況にあった。しかし、とりわけ2004年の「バラ革命」後は、民主主義改革によって事態を大きく改善させつつある。即ち、経済は、昨年の成長率が約10%を記録し、世界銀行から「成長が最も著しい国」の一つであると評価され、「シンガポールのようになる可能性もある」という嬉しい言葉さえ受けるに至った。また、汚職は、抜本的な対策によって相当程度縮減できており、例えば警察への国民の信頼度は一時期の一桁台から今は約80%にまで上がっている。グルジアは、欧米流の民主主義を志向し、そのための改革を進めているものであるが、そうした改革は、必ずやグルジアに根付くものと信じている。
グルジアの民主主義改革に対しては、米国もこれを強く支持してくれている。軍改革の分野でも貴重な支援を与えてくれる米国は、グルジアにとって極めて大切なパートナーである。しかし、グルジアは、米国との関係のみを重視しているわけではない。ますますグローバル化する世界にあっては、あらゆる地域、あらゆる国家との関係構築が非常に重要な意味を持つ。そうしたことを踏まえれば、グルジアは、NATOに加盟したいほか、EUとはFTAを締結したいと思っており、また、ロシアとの関係も良好にしていきたいと思っている。グルジアとロシアとの間では、様々な問題があり、とりわけ昨年は大きな緊張があったが、グルジア国民のロシアに対する意識は決して悪いものではない。歴史的・地理的な事情から、グルジアとロシアは深い関係があり、これを良好に維持することがグルジアにとって重要なことは論を待たない。
グルジアは、シルクロードの一部を成し、アジア、欧州、中東、どの地域にも関わるという、「中継地」として非常に有利な条件を備えている。また、民主主義改革によって「予測可能な国」になっている。グルジアは、それらのことを生かし、世界に積極的に関わっていきたいと思っている。なお、グルジアというとエネルギー不足という印象があるだろうが、むしろグルジアは、エネルギーを確保するルートを複数有していること、水力発電の有力な基盤があることなど、エネルギーに関して有利な条件を有している。エネルギーは常に重要な問題であるが、グルジアとしては、これらの条件をうまく活用すれば、そう大きな問題には直面することはないだろうと思っている。グルジアは昨年、ロシアから厳しい経済制裁を受けたが、しかし10%近い経済成長を達成できた。
さて、グルジアにとって日本は、尊敬の対象である。日本は、軍事力によらずに世界の大国としての地位を獲得し、世界に対して広く貢献を果たしている。優れた文化もあり、とりわけ私個人にとっては、「夢の国」のようなものである。グルジアは、そんな日本と、ぜひ関係を強化したい。既に日本には、グルジアのインフラ整備に参加してもらっているが、今後、グルジアへの一層の投資拡大を御願いしたい。また、グルジアは、古代遺跡、旨いワイン、豊かな自然など、多くの観光資源を有しており、日本には、多くの観光客にグルジアを訪れてもらえるよう、御願いしたい。また、グルジアは、独自の高い文化がある。この分野でも、グルジアと日本の交流は、今後の拡大が期待できよう。
日本では、グルジアに関する情報が乏しいのが現状であろう。そうした中にあって、今日の私の話が、日本におけるグルジアの理解を深め、グルジアと日本の関係強化の一助になれば、幸いである。
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