本日は、(1)開発と外交との関係、(2)過去20年間のモンゴル外交政策の概要、(3)外交において最も重要な開発、について話をしたい。外交と開発には、とても深い関係が存在している。20年前、モンゴルは民主化と市場経済を導入した。ソビエトの崩壊とともに、外交も自らで手がけるようになった。1992年の憲法には、国際法を遵守して平和外交を追求していくことが述べられている。1994年の外交政策の指針では、開発の視点が述べられており、外交によって国家の経済開発に資する環境を整備していくよう求めたものと理解されている。過去20年間、モンゴルにおいては、外交と開発は協力関係にあった。開放的で、平和的で、多面的な外交を展開することで、近隣諸国や世界の多くの国々とのパートナーシップを構築してきた。そして、そのパートナー達は、モンゴルの開発にとても協力的であった。
モンゴルはその地理的な特徴からして、ロシアと中国という隣国と、良好な関係を築いてきた。ロシアとは、2006年から戦略的パートナーシップを促進してきた。ロシアは、モンゴルの鉱床開発に必要なインフラの整備に、積極的に参加している。中国との2国間関係も、発展している。2003年には、新たな関係構築に向けた協定を締結している。過去15年間において、中国はモンゴルの最大の貿易国・投資国となった。今日、中国とロシアは、モンゴルとの貿易の70%、モンゴルへの投資の60%を占めるようになった。開発と安全保障という点において、中国・ロシア両国との友好関係を維持していくことは、モンゴルにとっては極めて重要である。しかし、両国に依存しすぎないようにするためにも、それ以外の第3国との協調も要請されているところである。また日本・ドイツ・アメリカなどの援助大国とも、うまく付き合っていかなければならない。
モンゴルは天然資源の開発によって、急成長を遂げようとしている。これらの資源獲得に向けた競争が、隣国間で活発になりつつある。これはわが国にとっても挑戦である。持続可能な開発を望むのであれば、節度ある開発を主張していかなければならない。また、多くの途上国が経験したような経済的な失敗も、回避していかなければならない。多くの国々との強固なパートナーシップを通して、これらの問題を解決していけるものと信じている。このような環境においては、言うまでもなく、開発は均衡のとれた柔軟な外交を必要としているのである。
|