国分良成 編 2002年6月刊・A5判・並製・296頁・本体価格:3,000円+税 ISBN:4-8193-0301-5
【2002年7月7日 日本経済新聞 書評欄より】
気鋭の現代中国政治経済の研究者やジャーナリストが中国の法制度や共産党体制、軍事、コーポレートガバナンス(企業統治)やマクロ経済、外交の現状について、「中国と世界のとの相互作用」という視点から論じている。
それだけに、どの論文も単純な楽観論や悲観論にくみしない深い洞察を含んでいる。また、時系列的な中国内部の変化という縦軸と、海外との比較という横軸を交えた論理展開は説得力がある。現代の中国が抱える諸問題についての議論の座標軸を整理する上で適した一冊。(抜粋)
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日本では過去、繰り返し繰り返し中国をめぐる議論の高まりがあったが、このところ再び、中国の評価と行方をめぐる議論がきわめて活発に展開されている。「台頭する中国」「大国・中国論」が語られる一方、逆に「中国崩壊論」などもジャーナリズムをにぎわしている。
資本主義世界の市場経済を根底から支えるWTOへの正式加盟は、社会主義体制を前提として改革・開放を実践してきた従来の前提を根本から変える可能性を予感させる。はたして現在の中国は自身の歴史の中で、そしてグローバリゼーションが進展するこの同時代の世界の中で、一体どこに位置しているのであろうか。
本書は、グローバル化時代における中国の国内システムと国際システムとの相互作用に焦点を当て、脱社会主義へのシステム転換を模索する今日の中国を総合的かつ実証的に考察した共同研究の成果である。
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